シーダ・バーンのブログへようこそ。
これから家を建てようと思う人に伝えたい建築家の日々の仕事ぶりを綴っています。
学生さん、社会人の方々にも参考になれば幸いです。
なお、当ブログでは、人物、場所、日時等が特定できるような表現を控えています。



現場速報-10Z邸16日目午前、型枠


あらすじ  
フェリーで遠方に行き来する現場の基礎工事は一筋縄ではなかった。しかし地元の顔とでも呼ぶべきオヤジに導かれ徐々に道が拓かれていく。


主な登場人物
オヤジ:基礎屋の社長兼親方。口も手も動きが速い。基礎工事幕の主役。
サイ:電気屋の一人親方、徐々に熱意が伝わってくる。
リブ:設備屋。年配でおとなしそうな感じ。スリーブから来たからリブと呼ぶ。



前日の10y邸現場立ち寄りがあったため、昨日は大阪南港20時零分発フェリーに搭乗。いつもより現場着が1時間20分遅くなり9時半となる。

現場はスリーブの日。スリーブというのは直訳したら何かわからぬが、コンクリートを打つ前に紙パイプを型枠の間に差し込んでおいて、あとで排水や給水の管をらくらくと入れられるようにすること。これを忘れると後でカッターで開けなければならない。鉄筋を痛めずに開けるのは大変だから今のうちに真剣勝負しておきたいところだ。設備はもとより電気ガスも取り付けに来るが、それまでに現場にいてくれるだろうか。

バス停留所からバッグを引いて道を急いでいると現場のほうから作業車がすれ違っていった。やっとプロシードにたどり着くと、いそうなのは電気屋サイだけか。「設備屋さん今さっき帰っていったけん」そうかやっぱり。「スリーブもういれましたか?」「結局ここの分電盤のところに2箇所入れただけです。あとは電話など基礎沿いに立ち上げてボックスでジョイント、土台下からいれます。」「まあ、それはそれでいい。ありがとうございます。」基礎の途中に入れたスリーブは何?ガスって書いてある。これは打ち合わせ外だ。みっともないというやつ。連絡して基礎底に変更してもらおう。

現場、型枠屋が立ち上がりの打ち放し型枠を搬入中。

さて問題は設備だ。確か配管図とスリーブ図を設備屋さんからもらっていたが、ばたばたしてあまり見ていないし、どこかに紛れてしまった。ええい、平面図と見比べながら決めていこう。納屋組マナが補佐役で。マナが図面持っているわけではない。家族浴室、浴槽の窓を2枚引き違いにして山が見えるように、栓の位置が南になっていいのだが。浴室詳細図面がない。マナに聞くと詳細図では浴槽の向き反対になっているそうだ。平面図がいい。南にカラン北にシャワーカランとしてスリーブ入れよう。給湯は土台下から入れる。渡り廊下土間低い立ち上がりに給水スリーブが。これは南側の下流し用。マナに聞くとキッチン横に分岐したらいいという。キッチン排水は点検口下までスリーブが。マナは点検口横通すので問題ないという。それから妻の間あたりにある汚水雑排水スリーブ。マナがこれは2階便所からではないかと、確かにそれしかない。マナよく知ってる。それで、縦排水が柱間だそうで、しかし土台基礎で当たるので、床上で横に振るしかない。だから反対側の収納側にふって便所下から出すことにする。母親棟は概ねオーケー。風呂排水の位置がわかっているのでマナの指示寸法に変更。それから便所への給水がないので、入れておく。これでチェック終了、変更箇所は水道屋さんに再度現場に来てもらう。水道屋は現場のすぐ近くと聞いているので都合がいい。


オヤジも登場。黒板に書き込んで記録写真をとっている。さすが、民間にもかかわらず言わずともここまでやっているところは少ないんじゃないか。

程なく2人の職人さん登場。年配の方、設備屋にしてはおとなしそうな感じ。(スリーブから来たからリブと呼ぶ)ひとつずつ相談しながら納得の上だから変更作業もスムーズ。途中ガス屋さんも参上。

実はこの一連のスリーブ変更手続きの取り込み中、納屋組番頭より連絡あり。10y邸で薪ストーブ以下何点かの課題が二転三転しているらしい。先生がほったらかしにしているから、と批難めいている。バトに事情聞いて対策を立てることにするが、ああ忙しい。

立ち上がり型枠の手順を見ておく。まず内側から建て込み。使い込み型枠なので、レーザーによりレベル出しして、釘うち、墨をつける。次にスペーサーの穴をドリルあけ。ピーコンをつけた150幅のスペーサー取り付け。午前終了。

先ほどの10y邸、どうも10yさんの最終判断と納屋組の段取りの歯車がかみ合っていないようだ。昼弁当早々に済ませて、メールを打つことにする。

10yさま、お世話になります。昨日現場見させていただきました。おかげさまで10yさまのご要望に沿うものが順調に形になってきました。 薪ストーブの件、納屋組選考の一案より奥行きサイズが小さくしかも量販店用です。ネット販売もそうですが売れやすくする工夫のある機種。設計段階でストーブ詳細図面もつくり、予算も最終的には組み込んでいます。それでも、現場最終のここにきて10yさまが金額を下げるお気持ちは・・。 金額にこだわるなら、たとえば外壁仕上げでお選びになったコテ押さえ仕上げは、他の撫で切りという粗仕上げより手間代アップしますから、そうお伝えしなければなりません。いまのところそうなっていないのは、職人さんがいいものをつくってあげたいという心をもたれているからでしょう。そう解釈してこちらからは値段について余分に聞いていないのです。 私たちにとってもお金は大切ですから、1円でもおろそかにせずご報告できるようにしています。またお金に翻弄されないことも厳しく自命しています。長文となりましたが、ご理解のほどよろしくお願いします。 なお薪ストーブの現時点でのお答えは、その機種をどうしてもというなら、ご自分で購入設置してくださいということになります。なおこの件電話もさせていただきます。