あらすじ フェリーで遠方に行き来する現場の基礎工事は一筋縄ではなかった。しかし地元の顔とでも呼ぶべきオヤジに導かれ徐々に道が拓かれていく。
主な登場人物
- オヤジ:基礎屋の社長兼親方。口も手も動きが速い。
- クロ:時に叱咤されつつ仕事をする黒縁めがねの若者。
- スケさん:鉄筋屋親方。
- カクさん:鉄筋組み手。
昼休みにかかって、親爺と相談。まず束石の変更について。靴脱ぎ石が2個でてきたことによって、広縁廻りは全面見直し。「石はいつ据え付けられるんですか。」「今は無理。コンクリート打ちおわったら、クレーンでもぶら下げて中にユンボ入れる。土やガラを出して整地するからそのときに。この広縁は広縁土台といって、どこも化粧的に材寸大きくしてるでしょう。だから束石少なくて済ませられるんでは。」「そうですね。大きくするように、変更します。1間は飛ばしたいから。石を2箇所置いて束石代わりにすると、真ん中の柱だけかな。」「柱の下には石入りまっせ。石やったら石屋さんというより、造園屋さんに何ぼでもあるし。」「いや、そういうところで買いたくないんです。ここにあるもので、そこにある御影のかけらでも束石にしますよ。」「それじゃわたしのもっている石でももってきましょか。」「まあまあ。ところで、コウサイというか路盤のような固い地盤が庭のほうまでいってますよね。」「どかまであるかわからんが。」「これ残したらあとで大変では?植木を植えようにも、今のうち取り除くことできるようお願いします。」「そう、建物たつ前に何とかしないとな。」「見積もりでますか。」「いや、出せんことないけど、わからん所多いし迷惑かけられん。」「それじゃ大体のところ今話して、出来高精算でいきましょうか。」「そうやな。」「アイヨンまた借りますよね。ガラの搬出は残土より高いんですか。」「まあちょっと、でもおなじようなもんや。」「わかりました。あと真砂土でも入れて、何やかんやで30万はつきましょうか。」「うん、そのくらいになるかもな。」「そのこと施主に伝えておきますから、頼みます。」「まあやらなあかんな。」「工程ですが、このカレンダーつくってみると、今週鉄筋で、来週から型枠、ベースコン打って週末立ち上がりコン。とすると、再来週10月最終週までこの土関係の仕事なりますよね、足場が29日予定ですが。」「その足場が問題や。足場たてるまでに整地して落ちついてなあかん。さっき鉄筋屋にも言った所でどうなるか、人増やす話したから。」「この日程でわるければ、建て方1週おくらすことになるけれど。」「まあ、前倒しになっていくと。前向きにこの日程で様子見ましょか。それじゃ先生は今日はもう帰って、明日は来ないんですね。わたしも明日あさって休んで金曜日様子見に来ますから、そのときまた相談しましょう。」昼オーバーしてオヤジ、クロ退場。
午後は鉄筋、スケさんカクさん。中央部分進める。
その間、墨だし部分の寸法チェック。どこも異常なし。マナから連絡 。貫の材質悪く、上下割れの分、片方割れの分交換してほしいと棟梁からの要望があると。でも片方の割れなら腰窓などに使えるから全部みとめてはだめでしょう。棟梁は最高のもの納めたいから、贅沢言ってるけれど、こちらは納屋作りでしょう。腰窓たれ壁には何とか割れている材使ってくださいと強く言いなさい、と伝える。結果両割れ材の交換に落ち着く。
10Y邸現場であるが、ここに来て10yさん側から、造作工事取りやめの要望頻発。あとでできることは後でやるのが思想であったらしい。まぁしかし設計図描いて、その費用も拾って設計料追加の原資にしているから、やめる分にはこちらの影響悪くないと考えよう。精神的にはいやだが。お金に換えるのも難しい。
10zさんから電話。庭部分のこと気になったのでという。概要伝えて工事かかること了解もらう。ひとしきり、更地の解釈について愚痴を伝えてしまう。「上物だけでなく地中の基礎なども撤去するのが常識では。ましてや土間コンも置いていくとはね。もっとも大きな石出ていましたけれど。それだけが収穫で、高い石ですわ。」10zさん笑って応対。
17時まえ鉄筋コンビあがり。明日から2人応援来るらしい。「次の仕事が詰まっていているので」とスケさん。「これからお帰りですか、たいへんですな。」と声かけて退場。カクさんあいかわらず無言で退場。そうそう、今日から9x邸の自転車錠、こちらでゲート部分の上にて再就職。そばを犬の散歩のおばちゃんグループが敷地と私を交互に見ながらおしゃべり。17時帰路。