シーダ・バーンのブログへようこそ。
これから家を建てようと思う人に伝えたい建築家の日々の仕事ぶりを綴っています。
学生さん、社会人の方々にも参考になれば幸いです。
なお、当ブログでは、人物、場所、日時等が特定できるような表現を控えています。



追掛帖-10EX邸地盤調査


あらすじ:設計も現場もまだまだ不慣れなチア。先生の通った跡を勇んで追っ掛ける。躓きつつも一歩一歩進んでいく。めげずに向かう今回の現場では?


昨晩の雨で今朝は少しひんやり、でも太陽じわりじわりと、今日も暑くなりそうな予感です。7時半、阪神電車に乗って出発。通勤ラッシュを避けたつもりが、車内少々ラッシュ。学生さん試験期間のようで、皆が皆テキスト片手に必死の様相。私も今日は土木の本を片手に予習。途中、阪神から阪急に乗り換え。乗り換えで失敗多発なので、緊張しながら細心の注意で臨む。無事乗り換え成功。しかしもう1回乗り換えの関門。人ごみに揉まれながら、次の電車に乗り込む。よし、順調順調。820分、最寄駅に到着し、徒歩で現場へ。モコの助言もあり、道に迷うことなくすんなり8時半には現場に一番のりで到着。絵になるすてきなY字路。近くの学校からちょうど朝礼放送が聞こえてきました。

現況などパシャパシャ。
今度できるシーダ・バーンをいろんな角度から想像してみます。



敷地内に入ります、地面にはいろいろなものが落ちています。インスタント味噌汁、赤いビー玉、瓶の破片、器の破片、古い薬瓶のようなものから、犬のフンまで、、、働き蟻や毛虫ものそのそ忙しそうです。

850分、おっ、細い道だから車が立ち往生してるな、と思ったら地盤調査屋さんでした。鋭角カーブを方向転換。車に地盤調査隊と書いてあります、洒落てます。隊長さんひとりです。
地盤調査隊の車が敷地に入り、トランク、オープン。隙間なく整然と仕事道具が積み込まれています。

隊長、平面図片手に、北から時計まわりに1,2,3,4,5と番号ふって「機械の動線がありますので、43521の順番で進めていきます。」
はい、よろしくお願いします。

コンベックスで計測しながら、チェックポイントに赤いスプレーで印をつけていきます。

車から地盤調査のマシンを下ろします。ぶるぶるとエンジン音を出しながら最初のポイントへ。マシンの足元がっしり固定し、ピピッと何かを入力してスイッチオンで動き出します。ぶるん、ぶるるん、と音を出しながら鉄の棒が貫入していきます。入ってます、入ってます、お、つまってきた。鈍い音がします。更に深くへ貫入させるために棒の長さを追加、トンカチでたたいたり、体重を乗せたり、更に深くへ、ギシギシギリギリ痛そうな音をさせています。「基礎工事は地球との対話」という先生の言葉を思い出しました。とすると、地盤調査ははじめましての挨拶でしょうか?なかなか衝撃的な初対面の挨拶です、、、

エンジン音がし出したので、お隣のおじいさんが窓からのぞいています。920分ごろ、ご近所さん、続々とお出かけタイムです。950分頃にはメーターチェックのおばちゃんが登場。近隣のお宅を双眼鏡で覗きながら回っています。

さて、機械調査が済んだら、そのポイントの貫入量を黒板に書いて記録写真を撮ります。

マシンと、それを操る隊長がかっこよく、何度もシャッターを切っていました。隊長「カメラマンみたいやねぇ」。すいません、みとれてしまって・・・。

隊長さん手際よく、1時間もかからずに5ポイントすべての調査が終了。

熱心に写真を撮っていたせいか、隊長、使っていた鉄棒をわざわざ地面に並べて写真を撮らせてくれました。「これよかったら撮りますか?こういうの使いましたっていう。役所にもこういう資料提出するんです。」更にマシンの説明まで。

「機械の写真もよかったら撮ってくださいね。関西に3台しかないうちの1台なんでね。トルク上げるためにこんなにウィンチを大きくしてるのはこのモデルくらいですよ。地盤のかなり奥深くまで対応できますからね。大手のハウスメーカーさんはみんなこれを指定してきますから。僕は京都ですけど、おかげで普段関西にいれません。東京とか埼玉とかからの依頼が多いんです。関東ロームのネチネチで固い土に向いてる機械なんですわ。」と隊長、ほこらしげ。
地盤調査機、車へ収納されていきます。

最後にもう一仕事。オートレベルでレベル測定。
「マンホールの天端と敷地との平行を測ってるんです、KBM±0というのは平行してるという意味です」

幼稚園のお散歩の時間。

計測が終わると、箒でポイント跡とキャタピラ跡を消します。「やや、ちょっと待ってください、あとで縄張りするので、その跡は残しといて下さい」「あー、そうですか、わかりました」

引っ張りだこの隊長さん、すぐさま次の現場に向かいます。ありがとうございました。
プライドを持って仕事をする隊長の様子にすっかり魅了されたチアでした。

もうじきモコがやってきます。そうだ、先に縄張りの位置に印をつけておこう。しばらくして、モコ登場。柱の位置に釘を打ち付けて、ビニール紐を張っていきます。ふたりだと作業も早いです。30分ほどで終了しました。帰る前に先生に電話しておこう、「先生、今縄張り終わりました」「で、地盤はどうだったんですか?」「え?地盤?え~と・・・」隊長の仕事ぶりに心奪われ、肝心の地盤状況のこと聞くの、すっかり忘れてました。ということで、「いったい何を見てたんだよ」と、今日も先生にひと怒られ。「縄張りしたんだったら、それぞれの部屋の窓から見える外の様子も見ておいて下さい」「はい、分かりました」。そうして11時半、退場。

やはりテスト期間中、お昼前に学生さんたちすでに帰宅しています。帰りにパン屋さんでモコとお昼ごはんを調達し、1時前、事務所に戻りました。