シーダ・バーンのブログへようこそ。
これから家を建てようと思う人に伝えたい建築家の日々の仕事ぶりを綴っています。
学生さん、社会人の方々にも参考になれば幸いです。
なお、当ブログでは、人物、場所、日時等が特定できるような表現を控えています。



目論見抄-10Z邸①


某日の10Zさんとの実施設計終了打合せの様子を2回に分けて配信いたします。



実施設計図面一式をお渡しして

ご主人:すごい量ですね。

先生:全部見て突っ込んでもらえると。

ご主人:全然無理ですよ。

先生:おかげさまで10年同じことをやってきているんですが、最初は何もなかったです。手描きで平・立・断しかなく、軸組図も簡単なものしかなかった。キッチンの図面もなかった。ところが同じことをやるからたまってきました。お客様にご心配かけたり、いろいろありましたが、おかげさまでここに至りました。標準図、一般共通事項。たとえば掃き出し窓の断面ご覧ください。床に掘り込みは難しいので敷居をかぶせています。掃き出しといっても15mm段差ができます。それをこの図面で伝えているのです。でも箒で掃くと埃がたまるからと、一回言われたことがあります。

ご主人:私はこっちが好き、敷居に異常があったとき取り替えられますから。

先生:掃き出しといわないんじゃないかとクレームあって、三角のものを後でつけたことがあります。そういうこともあって前もって見てもらっておくのです。

ご主人:法廷闘争みたいですね。

先生:個人住宅はこういったことの積み重ねなりです。そのためにこれだけのものができてきました。

ご主人:わたしはおまかせしますから。

先生:一番お願いしたいのは、できる前に何でも言ってほしい。出来上がってから見て『こここは思っていたものと違う』とかないように。前であればいろいろ説明もできるので。



母親棟モクセン板について

ご主人:母親棟のモクセン板の上にはなにかするんですか。どう留めるかなんですが。

先生:モクセン板の表面はツルツルしていますから、基本的にはモクセン板で留められます。垂木まで貫通させて、モクセン板30mmだから75mmくらいのビスで。垂木950ピッチなので途中に補強的に留めるかも知れません。現場見ていましたが、どうやっていたかな・・・。



ストーブ煙突について

ご主人:煙突は2重煙突ですか。

先生:最初はシングル、外部に行く直前から2重です。そうでないと、室内での煙突からの放熱がなくなります。その、おっしゃっている2重とはどういう意味ですか?

ご主人:ある雑誌の薪ストーブの特集があったときに、「煙突の中のタールがたまってるとかで、2重煙突でないと危険だ」と書かれていて、気になりましたので。

先生:寒い地方の外部は絶対2重煙突ですし、温暖地域でも冬は寒いですから2重煙突が。タールがたまるということは、たぶん温度が下がってしまうからです。炊き始めの上に行った煙が冷やされて下に戻ってくることもありますから、2重にして断熱したほうが安全です。ストーブに関して、お好みのもの選ばれていいですよ。

ご主人:ストーブは初体験で。

先生:一機だけ、初体験用にうちの場合安い機種で入れました。いいものは何十万とします。

ご主人:先生にまかせてもいいんですよね。

先生:今まで別にクレームもないのでかまいません。ストーブはある意味消耗品なので、入門編をやっておいて次回かえるということもできます。



近隣挨拶について

先生:ご近所に挨拶されるときにお渡しするメモできました。文面いかがですか。

ご主人:いいと思います。連休明け早々もどうかと思うので。挨拶は追々終わらせておきます。枚数は10枚お願いします。ちょっと多めにまわって味方をつけたほうがいいので。



漁火ペンダントについて

ご主人:インターネットで衝動買いしてシェードを購入してしまいました。使えるものがあると思いますが・・。

先生:作家つくったの陶器のシェードで、これは割りと最新のものです。

ご主人:先生のキッチンのところの透明のものが一番ですね。昔の金魚鉢を加工してひっくりかえしてできないものでしょうか。

先生:型を起こせば量産はできますが。


につづく)