シーダ・バーンのブログへようこそ。
これから家を建てようと思う人に伝えたい建築家の日々の仕事ぶりを綴っています。
学生さん、社会人の方々にも参考になれば幸いです。
なお、当ブログでは、人物、場所、日時等が特定できるような表現を控えています。



随想誌-音楽101011


久しぶりにある雑誌社の編集部に挨拶がてら立ち寄った時のことである。突然の訪問にもかかわらず、運よく編集長もいらして、スタッフの方々とともに快く迎えていただいた。編集長、開口一番「今若い人たちに受けているのは白くてモダンな木の家と思っているところが、市居さんの作る家は全体に暗いし白くないよね。どういう魅力があって依頼がくるんですか」と尋ねてきた。そこでいろいろ思いついたことを話したのだが。なんとなく一同腑に落ちないよう。今後もその辺りを突っ込んでくれるという。でも、たとえばボクサーにどうしてそんな戦い方ができるのかと問うても、言葉にして返事ができるものではないのと同じ。わかりやすい説明なんぞ無理というものだ。とっさに、私は中高の思春期にアメリカ文化とくに60年中期の音楽の洗礼を受けているので、木造の、当然日本風伝統的テイストにそれらのセンスがミックスされているのではないかという思いも伝えた。当時ビルボードというヒットチャートを賑わしたポップス、若者のはやり歌にはまり込んでいた私・・。

この連休に時間の余裕ができて、60年代グラミー賞作家ジミー・ウエッブの96年作CDを、マイブームで聴いている。今年彼は64歳で新作を出しているというが、最近ちょっといいなと思う「If these walls coulud speak」などを何度も聴いている。これは50歳の作である。他にも数々の名作を生み出してきた、息の長いという意味も込めて、現時点で私のもっとも尊敬する音楽家。「音楽の殿堂.com」というホームページをみた。「ジミー・ウェッブの音楽は、非常に洗練されてているとともに、どこか素朴な味わいが同居しており、思わず胸にギュッと来ます。遠いアメリカの風景をイメージするような、なつかしい気持ちになるんです。」とオーナーが感想を述べている。「洗練、素朴、遠いアメリカの風景」。わかりやすく言えば

「遠いアメリカの風景」→大草原の小さな家→アーリー・アメリカン・ハウス

シーダ・バーン:杉の納屋というのもそんなところから名づけられたのである。ジミー・ウエッブは今や作詞作曲だけでなく弾き語りの名手であるが、ここはカントリー系シンガー ナンシー・グリフィスの歌う「壁が話せたら」を視聴してみることにする。壁、部屋、窓などの言葉を織り込んだ独特な曲想が「遠いアメリカの風景」解釈の一助になればと思う。(101011阪九フェリーにて)