シーダ・バーンのブログへようこそ。
これから家を建てようと思う人に伝えたい建築家の日々の仕事ぶりを綴っています。
学生さん、社会人の方々にも参考になれば幸いです。
なお、当ブログでは、人物、場所、日時等が特定できるような表現を控えています。



現場速報-10Z邸2日目午前、鋼管杭打ち



主な登場人物

オヤジ :基礎屋の社長兼親方。口も手も動きが速い。


冷房温度29度にしてぐっすり寝る、さすがに前日の疲れから6時過ぎに起床。身支度などをしているうち、7時前宿の女将さんが朝食とらんかねぇと声をかける。はぃ、といってすぐさま下におりる。さばの切り身の塩焼き、ベーコンエッグ、ジャコおろし、味噌汁に梅干に奈良漬、ごはんもいっぱい盛ってくれる。あぁ、半膳にして欲しかったんだけれど、今朝はいただきます、といって食べ始めると、やはり傍について話をする。朝にはめずらしく延々食卓に座っていたら、もう7時半そろそろいきます、お世話になりました。やはり現場が近い、通勤時間が短いのは助かる。地方の仕事つらいこともあるが、お客さんの理解があってのことで、こういう点はまんざらではない。


今日は地盤改良の鋼管杭打ちの日。昨日納屋組番頭に工事保険入ってもらって、今日が本格的着工の日。現場着740分、8時前クレーン車が到着。中から出てきて「オハヨウゴザーィマス」何と外人、ひげ面若い白人の男性。「クイアタマ、ジーエルカラ、マイナススンポゥ、オシエテクダサィ」「マイナス300です」などといきなり打ち合わせをする。

後から若者2人で鋼管を載せたトラック到着。最後に乗用車で初老の男性。営業の○○さん。思ったとおり誠実そうな方、常務さんである。今の釘全部20ミリ東へ移動でしたが、あたらしい釘を打ちます。それでは念のため杭芯、対角測ってから打ってください。「そうですね。おーぃ、斜め測ろう。・・おやぁ、3センチほど狂ってます。」それじゃ、正しい位置出して打ってください。

車に戻っていると、オヤジが現れた。遠くで聞いているが、20ミリ移動を気にして確認している。多少狂っている話はしなくていいのに・・、と思っっていたら、「釘打ち直してくれたのかそれじゃOK」などと、納得した様子でこちらに向かってきた。「おはようございます。昨日話した塀の撤去の見積り出しました、見て下さい。」それじゃ、現場状況見ましょうか。この擁壁のブロック塀は取るのは土より上ですか。「下はいじるつもりないけど、今見たら外側に反ってアールになってますな。このブロック基礎がないから、ほらここ割れてるところ我慢しきれず亀裂入ってます。こうなると進行はやいですよ。」確かにこのブロック3枚分の高さまで土圧を受けてますね。そうすると土を掘り返して下から全部撤去したほうがいいと。「わし、自分のとこやったら、今のうちにやり変えてる」ということで、「なにも仕事欲しくて言ってるんではないけん」それはそうです。お客さんにもよく説明しますから、是非やり直した方がいいです。「わかった、基礎は鉄筋でL型にフーチン作って鉄筋入れよか。」13ミリ筋ですよね。よろしくお願いします、それからガレージの境界のほうですが、ここも境界にまたがって塀がありますから。

「この塀共有ではないか。掘り返したらガレージのほうも地面崩れるよ。」いえ、お客さんの塀ですが、越境していることになってるので、今のうちに全部掘り起こしてやり変えたほうがいいです。「そうか、わかった。」基礎はどう考えてます。「120厚で400幅くらい、ブロック積もうか。何段積もか。」ちょっと待ってください。図面がまだないもんですから。納屋組マナに問い合わせ。うちの南の塀、モクセンの塀高さいくつかな。「だいたい1100くらいです。」モクセン910で木材90120隙間301150だな。それにブロックが2段半だっけ。だから1650の塀になるし、ちょうど目線が隠れて頭が見えるくらいでちょうどいいな。それじゃ基礎から3段積みでお願いします。「わかった。南隣は境界問題ないし、迷惑かかるから、上だけ撤去でと。それじゃこれで見積だします。」わかりました。よろしくお願いします。10zさんに確認とりますから、待ってください。それで下の人とかお隣への挨拶ですが。一緒に行きましょうか?いけん、いけん。手ぶらで行ったらいけん。わしが手土産もって夜にでも挨拶行とくから。それ経費かかりますよね。今から見積もりだから費用見ておいてください。ありがたいな。私は設計者ですから、元請工務店の監督さんと間違えられたら具合悪いので、助かります。

「束石のサンプル見てください。いいかわるいか言うてください。」うーん、ちょっと小さいかな。底面18センチで上面も3寸角ぎりぎりだから、もうひと回り大きければねぇ、などと話しているうち、10時過ぎ。準備出来、1本目の管入れ。




と思ったらガーガー音を立てながら一向に入っていかない。予め地盤調査でわかっていたが、ここの№3地点、石が多くてぶつかっている。専務さんが帰り際、「石に当たったときは少し離してもう一度入れ直しますから、特に№3の当たり確認してください」と言っていた通りだ。1メートルで止まって一旦放棄。地盤素直な南に移ってもう1本は途中ガーガー回転音出しながらも全入。北に上がって3本目今度は入るが止まらないようなので、1メートル材を追加溶接。同時にさっきの放棄杭をガスでカット。それを付近に移動して打ち込み、4メートル弱で止まる。羽はないが再利用でも構わないとの話し、理屈である。入ればいいと。今度は2メートルでストップ。結局初期の2本が、№3地点で1mくらいしか入らず、以外は音を立てながらも途中からするするっと入っていくパターンで順調にこなしていくことに。なお、杭頭はごみなど入らないように転溶接で蓋をしておく。昼12時過ぎても工事進めるので、レフェリーストップ。近隣騒音対策には気を使う。