シーダ・バーンのブログへようこそ。
これから家を建てようと思う人に伝えたい建築家の日々の仕事ぶりを綴っています。
学生さん、社会人の方々にも参考になれば幸いです。
なお、当ブログでは、人物、場所、日時等が特定できるような表現を控えています。



見学簿-10H様1-②



10H様の第一回目のご見学記録を、全3回に分けてお送りします。


それでは、板の間へ

先生       それではぐるっとご覧になられますか?

ガラリ戸は最近変えたものですが、通常は板戸ですね。必要な場合は網戸をつけて。うちは子供部屋だけでしたが。子供が虫が嫌いと言ってね。
これがストーブですね、新潟で設計したものです。

ご主人    煙突は二重ですか?

先生       外は二重ですが、内部は極力一重で、外部につながる部分だけ二重にしています。

ご主人    これくらいのサイズがいいですね。すごいデカイのありますからね。

先生       これが貫です。楔のところで地震に対処するわけですから、毎日見ていて、役に立っているんだなあと感謝しています。

ご主人    防犯は大丈夫ですか?

先生       うちはガラス桟がたくさんありますから。泥棒も少し勝手が違うと思いますよ。鍵はあっても入る人は入りますからね。

ご主人    それもそうですね。床はこれが標準ですか?

先生       そうです。今はもうちょっと幅広いですけど。

ご主人    分厚いですね。

先生       これが一番リーズナブルにできる最大寸法です。浜松で建てた時に天竜材で100年超のいい木が手に入るというので使ったんですが、目が細かくて重たい木でした。通常はこっちのほうの杉になります。柔らかくて暖かい、痛くないですし。世間では床は傷つきにくい硬木を使いますが、私は傷つきやすいのがいいのです。

              幅を大きくしたい場合は両方を雇い実にしてつなげます。

              このテーブルも床板ですね。だいたい残材を使います、ベンチとか。

ご主人    (天井を指して)ここは直接なんですよね。

先生       ええ、踏板天井といいます。子供部屋でも音で子供の様子が察知できます。動いてないと悪いことしてる証拠ですから。育ち盛りはそういうのがいいと思いまして。


階段下のスペースにて

先生       階段はササラの両側に挟み込むのが多いです。


ポーチにて

先生       面格子を必ずどっかに入れます。風通しいいですから。

ご主人    扉もすごいですね。



ガレージにて

先生       タイル、レンガ、耐火煉瓦とか使ってます。岡山の家は備前のものを使いました。

ご主人    あの土間いいですね。やっぱり岡山ですか。

先生       釜を焼くレンガですから。

ご主人    レンガは味が出てきますからいいですね。

先生       ここは両親の家だったところです。ちょうど風呂焚き小屋で、煤が残ってますが、小屋組だけ残しています。


通り土間にて

先生       ここが仕事場です。設計はCADとエクセルを使ってやってます。

ご主人    二軒目の家は自分で描いたんです、ベランダを1メートル以上出して、二階三階広くして。落ち着きますね。

先生       パソコンは使われますか?

ご主人    ええ、毎日のように使ってます。仕事でも使いますし。

先生       案が出来たらパソコンに送ります。メールのやりとりが一番ですね。記録にもなるし、速いですから。

              うちで使う金物です。

ご主人    まだこういうのあるんですね!

先生       好みがあれば事前におっしゃって頂いて、そうじゃないときは私の判断を尊重してくださいと、皆様にお伝えしています。設計事務所ですから、暮らしの色々な要望は伺いますが、デザインは私の判断を通したいというのがありますから。

              丁番などはスチール、真鍮とあります。

ご主人    やっぱり真鍮の方が感じがいいですね。

先生       ご予算にもよりますが、特に希望がないときは基本的には真鍮です。

              戸車もいろいろあって、実践研究してます。鉄、ステンレスですね。


中庭にて

ご主人    軒は出てるほうが全然違いますね。

先生       だいたい、柱芯から1メートルは出します。

ご主人    外の塗料は何ですか?

先生       これはベンガラです。

ご主人    耐久性あるんですか?

先生       あるんですよ、うちも風呂蓋に使いましたけど、6~7年になりますが色が取れない。それ以前は外部用塗料というのを使ってましたが、もちは3年くらいです。柿渋の場合は水に弱いです。昔は柿渋を使って、雨にぬれた所が白くなって、風雪感ありとしていましたが。その意味ではベンガラだと均一ですから風雪感出ませんが。

ご主人    外の壁もモクセン板ですか?

先生       外の下地は合板です。基準法に耐震壁の決まりがありますから、合板、防水シートと重ねてモルタルを塗ります。柱は6寸角です。シーダ・バーンの場合は壁が少ないですから、電線をどうやって通すかというのがああって、柱の太さ、壁の厚さが決まっています。
これは雨水利用を考えた甕です。


戻って、玄関土間。

先生       ここも最初はタイルだったんです。だけどどうも寒くて、珪藻土を敷いて、いわゆるタタキですね、寒いけど、足の感覚は悪くない。

ご主人    釜戸を土間に置きたいと思ってたんですけど怒られましてね。手間がかかるものが好きなんです。バーベキューとか行ったりしますけど、まあ、遊びでしょう。井戸も掘りたいと思ってます。

先生       うちも井戸ありますよ。それで打ち水してます。全然違いますよ。ご計画の地域は大きなお宅が多いですね。

ご主人    ええ、庭も立派で、眺望もすごくいいんですけど、私眺望興味ないんです。カーテンしたくないです。

先生       シーダ・バーンにぴったりですね。

ご主人    石積みがあって、それは壊したくないと思ってるんです。法律でどうのこうのあるみたいなんですけど、石はゴンゴンでかいやつです。とにかく自然を残したい。
              本当は平屋がいいんですけど。

先生       シーダ・バーンはだいたい平屋の二階建てです、小屋裏付きの。5寸勾配の屋根なので小屋裏でも住めるんです。ご予算ある方は二階にしたいとおっしゃいますけどね。陽が入りますから。小屋裏だと窓少ないですから。

につづく。次回、工期スケジュールの話です。)