シーダ・バーンのブログへようこそ。
これから家を建てようと思う人に伝えたい建築家の日々の仕事ぶりを綴っています。
学生さん、社会人の方々にも参考になれば幸いです。
なお、当ブログでは、人物、場所、日時等が特定できるような表現を控えています。



現場速報-10Z邸9日目午後、ブロック積


主な登場人物
  • オヤジ:基礎屋の社長兼親方。口も手も動きが速い。基礎工事幕の主役。
  • ニキ:型枠大工。



ところで、型枠の話つづきがある。ニキが打ち放しのベニヤ23回使ったのでいいかとオヤジに聞いた。オヤジは「外は新しいのにしてくれ、内側は構わんけど。あんたの元請にそう言ってるがな。」「いえ、そうは聞いてないんで。値段合いません。」「もう一度ゆうとく。先生の前で余計なこと言わんでいい」「オヤジ、そんなこと言わんでいいよ。正直に言ってくれて私は構わない。」「こちらの中の話やけん。」「そんなこと言ったら、私は工務店通すのやめているからこそ、オヤジとニキこうやってフランクに話せるんですから。下請けだとしても話してもらった方が間違いがなくていいですよ。それでオヤジのところ鉄板型枠持っているなら今からでも一部、母親棟でもそうしたらいいんではないですか。」「いや、でも先生の図面に打ち放し化粧仕上げと書いているじゃないですか。それだったら鉄板よりベニヤの方が上ですから。だから先生にセパの位置は気にされるんですか、とあの時聞きましたよ。」「それありましたね。」「それで先生は気にしませんとおっしゃったので、新品のベニヤを考えたわけです。」「いや、それは鉄板でもベニヤでも工事屋さんの都合でどちらでも気にしませんよというつもりだったんで。オヤジさんはベニヤをしたいんですよね。どこが違うんですか」「それはやっぱり肌が違います。鉄板は直前に油をギトーと塗りますから表面がよくないんです。やはりきちんとセパ穴を入れたベニヤが打ち放しとしては上等です。この擁壁は目から遠いので二度目のベニヤ使いました。穴の補修したとこや、キズのところが溝にこういう形で出てしまうんです。型枠は一時ですが、住む家は50年、100年お客さんのところにあり続けるのですから、ここは新品でやるつもりですよ。それと、鉄板型枠ではこの規模の工事ではやりきれない。うちの人手を使うことになるから、この状況では手が廻らない。ベニヤだったら大工にまかせられるけど。」「分かりました。今度、鉄板とベニヤの仕上げの違い注意してよく見ておきます。」

午後から擁壁の方に二段目にあたる部分を積む。一人積みなので下ごしらえ、モルタル付け、積み方を各々まとめてする。写真を撮ろうとすると、ベンは疲れた格好をして手を休める。離れると積み出す。もう一回近づいて、「このヘリに付けるモルタルよく落ちないですね。三角にへばりつかせるからですか?」「そんなことないよ」と話しながら積んだらそのモルタルが半分落ちてしまった。余計なこと聞いてすみませんでしたと言って、その場を離れる。時間も迫ってきて身支度を整え、ベンに悪いと思い先日の旅館でもらった缶コーヒー置いて、3時前に退場。