シーダ・バーンのブログへようこそ。
これから家を建てようと思う人に伝えたい建築家の日々の仕事ぶりを綴っています。
学生さん、社会人の方々にも参考になれば幸いです。
なお、当ブログでは、人物、場所、日時等が特定できるような表現を控えています。



現場速報-10Z邸3日目午前、擁壁解体




主な登場人物


  • オヤジ:基礎屋の社長兼親方。口も手も動きが速い。
  • リキ:組の番頭。力が強く頼れそう。
  • シュン:組の若頭?俊敏な感じ。あとでわかったが、俊のトシでなく敏のトシだそうだ。
  • 10Zさん:空前絶後の熱烈なシーダ・バーンのファンかつお施主様。いわばこの速報の大元の製作者。豪放かつ繊細なキャラで、時に出演もするわけだ。
  • ムニ:10zさんの無二のご親友。言葉少ないが10zさんと正反対の一見誠実そうな見かけ。




朝から10Z邸の図面を見直していて修正を56点する。赤ペンで直し箇所描き入れて、デジカメで撮影、それをパソコンに取り込んで添付メールでマナ宛てに送る。図面訂正と刻み手直しかどうかのチェックを頼む。以前はオールインワンのスキャナを利用していたが、近々はこのほうが手っ取り早いし、画像記録もパソコンに残るので問題ない。渡り土間の基礎高さ、渡り廊下仕切りの撤去、床板方向変更、玄関上の母屋束長さ、2階手すり柱高さ、等々微調整が主。設計作業ではある時間寝かしておかないと次の発想が湧いてこない。それも何回も寝かせなければならない。設計図だけの世界から工事段階になり、手戻りなど発生しないようにアイデアを練る。この仕事はあくなき執念と果てしない体験が必要なのである。

駅前からバスで現場到着8時。基礎屋9時前到着。オヤジ、リキ、シュンの3人。擁壁上のブロックを解体撤去して新しい擁壁をコンクリートでつくる。そのためまず道路側にコンパネで養生床をつくる。オヤジが事前に工事で迷惑かける旨近隣に手土産配ってくれているのと、もともと工事前に10Zさんが挨拶回りしてくれているせいか何も問題がないようだ。オヤジのっけから、「大工どうやろか?」、と言ってくる。「見積り来ましてそこそこ値はあったんですが。」「いくらで出たん?」「それ言っていいんですか。1万・・円で消費税別なんです。消費税分があわないので」「それは機械工具入れての値段か?」「そうです。ビスなどは支給しますが。」「いいと思うわ。電話したるわ。」といって値段交渉の電話をかける。結果、大工もしょうがないと言ってるようだ。「電気屋は?いくら値引きしたらええんか?」「今、器具とか見積もり落ちの項目を追加で出してもらってて、総額がまだ出てないんです。でたらまた相談します。」

ユンボを操縦するオヤジ
養生ができて、オヤジがユンボに乗って掘り方へと進む。ブロック2段半分、約50センチ掘ったところに下りて、地盤の様子を探る。つま先に体重かけるがめり込む様子はない。掘り方に並行して直行方向に残っている塀の解体、リキがハンマーと手であっさり壊す。無筋積みだ。さすがに隅部分は擁壁上のブロックが落ちないように鉄筋で補強されている。ここは振動ドリルで壊して、擁壁塀の解体が可能となる。掘り方が終了。随時、2tダンプで処理土を搬出していく。
ハンマーと手で擁壁解体






トラックで残骸を搬出










ちょうどオヤジが出かけた頃、突然10Zさんが登場。現場の様子見で特に用事はないが、先生の仕事の抜き打ちチェックかもしれない。一通り説明し、大工の件も報告。「オヤジがしゃべりの得意っていう人ですよね」「あぁ、今捨て物に行ってるところです」「構いません。オヤジのことは先生に頼んでるので。こちらの人は結構ストレートなんです」「紹介してくれた大工さんも輪をかけたような人で。でも、最初は請け負いでないと仕事に責任持てるかなんて言ってたのに、いつの間にか常用の話してるんですよ。おかしいですよね。雑誌見て、持って帰って読んでみるなんて。最初と雰囲気が違うんですよ」「そうでしょ。こっちの人って雑誌とかに弱いんですよ。先生の本見たら変わったでしょ。だいたい。普通のもんと違って、こんないい仕事できるんですから違いますよ。先生は、あまりしゃべる人嫌いですよね」「でも、仕事しながらのしゃべりですから、悪くはないんです。大工さん、軽トラに乗ってきてたんですが、アルミサッシのはずした廃材積んでましたよ」「そういう仕事ならいくらでもありますけど。ところでこの車、雑誌に載っていたスケッチのものですよね。先生はいつも軽に乗っておられるから、この車どこにいるんだろうかと」「別宅においてあるんです」「そうですか、奥さんにばれないようにしないと」「いえ、奥さんの別宅なんで・・。」(10Zさんコケかかる。)
などと雑談しながら、「帰ります」と。「車はどこなんですか」「いや、駅からタクシーで来て、近くに寄るので歩きです」などと言って帰って行かれた。しばらくしてもう一度来られる。今度は三鋼建材という社名のワゴンが止まっている。紹介だけですけれど、私の無二の親友なんです。といって社員さんのような方が一緒に。シャイな人なのか、一言も話さなく文字通り挨拶だけ。ちょうどオヤジも帰ってきていたので、10Zさんを紹介。オヤジ普段とは打って変わって名刺差出し「お世話になります。一生懸命がんばります。よろしくお願いします」。