主な登場人物
- オヤジ :基礎屋の社長兼親方。口も手も動きが速い。
- プロ :ブロック積み屋の熟練工、ブロックの人間版。
- パット :茶髪だが思った以上にやる。
- ジュウ :ブロック積みの手元工。
- ハリ :同じく手元工、針千本。
8時20分オヤジ登場。運転席でイヤホンマイクつけてなにやら話している。しっかり発電機持ってきていて一安心。○○ブロックという専門業者らしい。オヤジがレベル出し、境界位置など指導。誤差も鑑み境界より10ミリ内側に敷くことに。昨日の大雨のさなかに擁壁内側およびベース型枠取ったあとの様子見る。水抜き穴には黒い透水シートつけている。コンクリートはきれいに打てているがセパレーターボルトがピーコン処理していないこと問題ありか。
今日の工事のほうだが、さすがブロック専門業者だけあって、手際よく積んでいく。プロだけでなくパットも若いがなかなか。縦目地材を載せながら横向けに積んでいくところなど。プロとパットがメインでジュウとハリが下ごしらえという関係。
正直言って住宅規模の施工では、専門業者の腕を見るのは初めてに等しい。以前、ビルやマンションをしていたことがあるが、設計管理のみではつぶさにみてはいなかった。オヤジ手広くやっているので、鉄筋や型枠、ブロックなど下請けに回しながら段取りよく仕事しているわけだ。オヤジ一段落して型枠にへばりついたセメントをはがすと片付けにかかる。「ところで、オヤジ、瓦屋さんしりませんか。」いつものように、すでに携帯をとりだし、「知ってるも何もこのあたり狭いから、一流のところはそこしかないというぐらいで、あ~、もしもし神戸から家を建てに来てる設計士さんがおって、東北かどこかの民家風の家の屋根瓦葺きたいと言ってるんで、田中さんのところに白羽の矢があたったんです。私も基礎や外構やらしてもらってるんで、紹介しますから直接話してくれませんか。」ということで、直接電話番号聞き、見積もり依頼送ることに。営業風の落ち着いた応対の人。大きな会社で、一文字だとしっかりした職人いるところでないと、というオヤジのコメント。「淡路でも運賃がかかるもんで三州でも変わりません。焼き温度高い三州がいいでしょう。こちらのほうでいぶしの一文字瓦ありますか。」「ここらはありません。石州と違うものです。」「元請け工務店なしで、分離発注していますので。値段の相談なしで、会わなかったらお断りする場合もあります。」「直接現場管理されているわけですね。」「値段はネットで出します。」
ブロック積み境界線からやはり10ミリ逃げておくことに、誤差ではみださないように。2チーム体制以降順調に。
オヤジ、擁壁の端の板1枚はずしてコンクリ仕上がりの具合見せる。きれいでしょう、といいたげ。
先生 「しかしやはりセパのボルトが出ている、内部側が問題だろう」
オヤジ「いやいつも土側はこれで終わってますよ」
先生 「でも今考えてもおかしいじゃないですか、いずれ錆びてきて、中性化のようになってしまいますよ。外側は化粧かもしれないけれど、私は化粧には興味ありません。外側はボルト保護のためにピーコンですよ、内側もピーコンだったのでは。何か施工基準あると思いますから、事務所に調べてもらいますよ。」
オヤジ「錆び止めでも塗りますか」
先生 「いや、錆び止めよりシリコンのほうがいい。とぐろ巻けば分厚いですから。」
話のそこにプロがいて、「セパの処理か。コーキングのほうが持ちがいいな。錆び止めなんかすぐ剥げるから」と応援。このプロ「神戸から来てるんですか」と私に話しかける、気のいいところがある。一時姫路にいたそうだ。オヤジ観念したか、「明日買ってきて処理します、シリコンですか?」「コンクリだからたぶん変性シリコンがいいです。出たボルト切り落としてとぐろ巻きします。そうそう、土戻す前にね。」
ブロック積み順調。2段目で横筋入れ、この横筋最初は番線で立て筋についていたが、いったんはずしてもう一度のせたもの。今度は番線結わえなし。もう壁との仕舞いも終わる。
縦置きのブロックは養生。レンガ積むときにはずすもの。