シーダ・バーンのブログへようこそ。
これから家を建てようと思う人に伝えたい建築家の日々の仕事ぶりを綴っています。
学生さん、社会人の方々にも参考になれば幸いです。
なお、当ブログでは、人物、場所、日時等が特定できるような表現を控えています。



第7回講義録111123







イントロ
今日は読み物を三つほど。まず蟻の話からマムシ料理、釣る瓶老人へと順番に、チアさん読んでいってください。








はい、ありがとう。

三つの話、たまたま思いついたまでで、三題話などとまとめようとは思いませんが、なにか共通する雰囲気あります。人知れずこつこつやっているというところでしょうか、工事管理やっていると職人さんの仕事ぶりに窺えるところ大です。特に宿の主人のマムシ料理などは感銘します。これをやらせたら一流なんだけれども時流に合わなくて・・というようなところですか。よくお世話になる基礎屋さんで年配の職人さんですが、普段型枠や鉄筋いじっているのですが、あるとき石積みをするというので出来るというからやってもらったら、それはそれは立体的な石の表情掴んで積んでいくんですね。それ以来基礎工事だけでなく煉瓦積みはしょっちゅう、時には石積みがあるとお願いしています。私たち建築に携わるものは、こういう仕事が大事なんですね。何でもかんでも文明の合理性に頼らない、かといって工業製品とか機械とかも使っていかなくてはなりませんね。芸術と技術とのせめぎあい・・工芸とも呼ぶものでしょうか。どこで折り合いをつけるか。それがその人の本質を決めるのでしょう。では短いですが、今日はこれで終ります。



テーマ
前回はスライドを簡単に終えたので、今日は補足で瓦の話を少ししましょう。私の設計する家の屋根には必ず瓦を使います。窯変の洋瓦も使いますが、今回は和瓦の話です。私の知っている限り、まんじゅう、一文字、しのぎというのがあります。まんじゅう瓦は一番庶民的な瓦で金額が安いのでよく使います。軒先の一文字瓦はあまり使えないです、金額高いから。京都は見栄の文化がありますから、街を歩いているとよく見かけますね。

ちょっとここで写真を見てもらいます。




去年遠方の現場で出会った瓦職人ですが、なんと女親方なんですね。 

どんな風に瓦工事がはじまるかですが、まず瓦屋さんに注文します。私の場合は縁あって今は茨城の瓦屋さんです。そうすると、瓦屋から地域の瓦商店に連絡がいき、そこから更に職人につながります。末端ですからなかなか目がいかないですが、この職人が大事なんですね。

一文字瓦というのは軒先をきれいにそろえなきゃいけない瓦です。文字通り一文字です。この女親方は息子連れでやっているんです。ところで足場組みの件で現場打ち合わせしたところ、足場屋さんの話で一文字瓦だということを話したらそれならこれじゃあいけないと即掛け方の内容を調整してくれたんです。つまり軒先のところに瓦職人の臍が来るような位置に移動して架け替えるというものです。その分追加費用がかかったんですが。

では、本日のスライドに移りましょう。





サビ
サビに行く前に、余談ですが、今日は祝日です。祝日といってもサラリーマンくらいしか休みません。職人は原則日銭仕事です。今の時代、大学もサラリーマン化しないで祝日にかかわらずがんばってるんでしょうか。

さて、本題です。今日は営業の話をします。講義は施工でもその元には設計があるでしょう。そしてその元には施主があります。その施主がいなければ設計も施工もないのです。普通そういう仕事を探し出してくる行為を「営業」といいますね。一番大事なことは教えられないんでしょうか。どこの大学にも「建築営業」などといった講座はないでしょう。一番大事なことなのにね。それでその大事な話をするために昨日ちょっとメモを書きました。見てください。建売住宅は問題外のため書いてないですが営業を心がける時にどんなタイプのやり方にするか、選択肢があるわけです。



まず宣伝型。資本主義の世の中、宣伝にお金をかけます。仕事が巨大だから、お金もかけます。学生の多くはこういう会社に就職します。モデルハウス、完成見学会、住宅博などなど営業費はすごいです。そのぶん取り戻しも必須ですから営業員のノルマはすさまじく、朝駆け夜討ちという言葉が定着しています。 

待ち受け型。○○ホームおかかえ建築家。○○ギャラリー。よくみると○○工務店と書いてある。工務店が建築家を雇って家を建てるんですが、うまくベールをかぶせます。THE ○○ は控えめな宣伝手法。でも建築家を集めてしっかり儲けます。建築家も利用されていると知りながら・・。建築家の実行力、行動力ほどうなっているんだ。ということで建築家カタログなど自費出版しているところもあります。 

教養・アカデミー型。アカデミック。ニューハウス。チルチンびと。コンフォルト。住宅建築。などの雑誌が本屋に並びます。暮らし的なものからデザイン的なもの、庶民的なものから専門家相手まで雑誌によって性格が違ってきます。読者からみたら「我ここにあり」的な。掲載は編集長にお願いする場合から、べてらんだと雑誌社から依頼が来ます。急遽ぽっかり穴があいたので、先生何か作品ないですか?的にきます。 アカデミックな雑誌に載せてもらおうと3ヶ月に1回くらい編集長に会いに行きました。全然取り合ってもらえなかったですが、あるとき編集長が初代の人に代わって、ここはチャンスと思って訪ねたらいい感じに。実は学生さんに向けて広めようという目論見だったのですが・・やはり学生さんは多くは来ません。施主予備軍は年に10組前後ありますが、学生さんは一人かゼロです。大学教育になんかあるんでしょうね。その大学に教職というのがあって、建築家は結構教授に利点見出します。権威と安定が魅力。もちろん教育だけでなく設計仕事もします。でも私の先生や伊藤豊雄さんなどは教職につかないほど仕事に打ちこんだんでしょう。

最後に自然・宝探し型。腕の良い棟梁はたくさんいます。だけど彼らは自分で宣伝できないし・・。昔はその地域で依頼があったんでしょうが。







そこで私はどれを選んだか?雑誌・アカデミー型と自然・宝探し型の両股かもしれません。インターネットでお宝探しができるような時代ですから。その昔、修業中の身の私に亡父は説教しました。設計ばっかりやっとらん少しは営業しろ!と。ではあとは質疑に移ります。




フェイドアウト
このコーナーでは、関連付けのため次回読み上げたものを掲載しています。第8回は時間切れのため質疑省略となりました。このため、今号はおやすみとさせていただきます。
ちょっともの足りないぞ、という方はこちらへどうぞ。