生コン車到着。一気にスロープ上まで上がり、基礎各所には赤ターバンがネコ車で運搬。均しはいぶし銀、コテ押さえを頭領という分業で進む。今日はこれで終わり、明日またよろしくということで、先に帰ろうかと思ったら、職人が明日はお休みしたいという。さらに打設1時間したらそこそこ固まるので、もうすぐ墨出しかかりますというので、立ち会うことになった。いつもは翌日墨だしだったように思うが、そういう芸当もできるんだ。
墨出しは水糸をたよりに下げ振りとメジャー実測を使い分けて縦、横の通り芯をうつ。芯が終わるとその両側フーチング幅225ミリも墨付けする。これできちんとベース位置が確定するわけで、見えないところだがやはり丁寧な仕事という他ない。確かにコンクリートは固まっていないが、人が静かに乗っても靴跡が食い込むことはない。そうこうするうちに親方が現場にきて、工程の相談。明日病院にいかねばならない職人がいて、効率悪いから全員休もうということだが、真実のほどはわからない。素朴な職人さんたちだから急にでもそう言われたら、ああいいですよと言ってあげる他はない。この暑さの中、こちらも休みはありがたいが、休んでその後どうなるかが心配だ。できれば連休前にコンクリート打ちをしたいので。と言うと、親方も思いは同じ。2日ほどベース型枠と配筋で翌日ベースコン打ち、その後立ち上がり型枠で翌朝コン打ち、夕方レベラーというようなことで、なんとか目処がたつ。ようやく本日の仕事も終了。舗道に敷いている車両出入りのための鉄板だが、毎日片付けてくれる。後片付け終わればちょうど5時で、やはり初日よりは楽な1日だった。
こんな風に基礎工事のはじめから現場に一日中張りつくようになって、5、6箇所になろうか。一般に設計者は工事監理業務といって、施工者が設計図書通り工事しているかどうかをチェックする。その職務は技術的な側面についての義務であろうから、どうしても形骸化してしまうのではないか。つまり現場監督さんがそこそこ優秀であればどうしても頼ってしまうから。でも、現場に一日いると、その日の光や風の具合、近隣の暮らしぶり、道路の通行の様子など、そして何よりも職人さんたちの意気とか腕っぷりが直に伝わってくる。それらが綾なす現場物語もなかなか魅力的である。現場で掃除したり、職人さんとの相談で上り下りしたり、ごみ処理をしたりと体を動かすことも、設計という頭脳労働の疲労を癒してくれるのかもしれない。次回からは工事は本格化、配筋、型枠へと進んでいく。
(つづく)