シーダ・バーンのブログへようこそ。
これから家を建てようと思う人に伝えたい建築家の日々の仕事ぶりを綴っています。
学生さん、社会人の方々にも参考になれば幸いです。
なお、当ブログでは、人物、場所、日時等が特定できるような表現を控えています。



目論見抄-10EX邸、実施設計打合せ終盤1-5


あらすじ 

実施設計の終了に際して、工事費の明細の説明をする段階に。工事内容に見合う金額の目標、すなわち予算が適切に配分されているか、ひとつひとつ根気よく説明する先生に対して、10exさんは熱心に聞き入っていく・・。5回でお送りする最終回です。




薪ストーブ

先生    (図面を指して)煙突は梁下を通ること。じゃないと床板とか炭になってしまいますよ。土間が低いから梁下でいいし、ここから掃除できる。

モコ    すみません、修正します。

先生    2重煙突は2本分で。

ご主人  シングルとダブルの違いはなんですか?

先生    通常は内部はシングルの煙突で、ダブルは外気の影響を受けるところに使います。冷えて煙が戻ってこないようにするんですね。横引きの比率がありまして、早めに横に引いたほうがいいんですよ。上に行くまでに冷めてからだと、煙が戻りやすくなりますから。それからシールドは2階にいらない場合多いです。1階はいる場合もあります。2階は様子見て入れましょう。ストーブ位置、7通りにもうすこし寄せて、後ろにはモクセン板の遮熱板を置く。熱による建具のそりも減るので・・。この遮蔽板は夏は横にはずしてもらうなど出来るようになっています。

ご主人  建具は熱でやられるんですね。

先生    窓の位置、ストーブのために建物の形が変わるのはいけない。夏はストーブは置物、オブジェになるのだから。窓ありで。

番頭    上に窓があったほうが明るく風もとおり、目線もさえぎる。

先生    夜は下を閉めて、上を開けるとのぞかれないですみますね。

番頭    どこか別のお宅で、面取りガラスの隙間からのぞいてた人とかいるので。


詳細図説明いろいろ

先生    書斎机、1段目の引出しに取手をつけます。上3段は有効80mm高さ、一番下はA4ファイルが立てて入れられるように270高さを。真ん中に150ぐらいの引出を一つでと考えています。

ご主人  いいですね。

先生    階段下のPC机、座っても後ろが通りやすいように中に入り込んでいます。標準図と違うので、PC机の図面作成は現場で間違えないようにしましょう。建具、地窓・掃出し窓は敷居を付けるので段ができます。防犯格子は雨戸のない所、浴室などに入れます。

ご主人  床点検口とは?

先生    床下をメンテナンスできるように400×600くらいの板を外して人が入ります。押入れのところにあります。平面図に載っていないなぁ・・平面図に記入するように。

モコ    了解しました。

先生    スノコは胴縁でつくります。押入れの枕棚などです。ヒモというのは、雨が入ってくるのを防ぐ15ミリ角、5分角の棒を窓に打ち付けます。これがないと台風の横なぶりの雨が大量に入ってきたことがあります。

ご主人  ベンガラはなんですか?

先生    外の塗装は柿渋ではなく、ベンガラを使います。ベンガラと桐油を混ぜて塗り、ぼろ切れで拭き取ると木目が出ていいんです。このメモはどの範囲まで塗るかの注意書きです。それから、これはモクセン板の嵌め方の指示書です。モクセン板にも表と裏があり、制作段階で下のほうにモルタルがたまるんですが、そちらが裏です。表を向けて取り付け、間違えないように。内壁はどっちを表にするかということがありますから、原則を作っています。

ご主人  なるほど。

先生    確認申請がおりましたらこれらの書類をお送りしますので。

ご主人  わかりました。よろしくお願いします。


おわり