シーダ・バーンのブログへようこそ。
これから家を建てようと思う人に伝えたい建築家の日々の仕事ぶりを綴っています。
学生さん、社会人の方々にも参考になれば幸いです。
なお、当ブログでは、人物、場所、日時等が特定できるような表現を控えています。



目論見抄-10EX邸、実施設計打合せ終盤1-1


あらすじ 

 実施設計の終了に際して、工事費の明細の説明をする段階に。工事内容に見合う金額の目標、すなわち予算が適切に配分されているか、ひとつひとつ根気よく説明する先生に対して、10exさんは熱心に聞き入っていく・・。5回でお送りします。



試算表の説明

先生     試算表は全体工事費をバランスよく配分した予算が左にあります。それと図面仕様で数量を拾った右の積算との対比で検討されていきます。積算金額は、実際に工事専門業者から出てきた見積金額にシフトしていきます。さらに注文金額、支払金額と変わっていきます。どの工事も凹凸があって、最終合計が決算金額となります。当然、予算と決算は同額となることを目標に進めていくわけですね。そのために、一つ一つの工事内容と金額は常に留意していかねばなりません。何が入っていて何が入っていないかの確認もしていただきたく、今日は、順を追って説明して実施設計の締めくくりとします。

まず仮設工事ですね。消え物といって、出来上がったときにはなくなっていくものが中心です。細かく詰めると、何が消え物かわかってきます。

 『足場シート』は工事中の仮設足場とそれの外側にかぶせていくシートの工事代です。通常、住宅建設用の鋼管パイプ足場を頼みますが、床面積と足場面積に比例するものです。
 『トイレ』は通常汲み取り式にしていて、4ヶ月程度のリース代と中間汲み取り代がかかります。水洗にする場合もあります。多少匂いはありますが、設置位置は南東のほうがいいと思うがどうでしょう。

ご主人   南側隣家の窓がありますね。
         南西のほうがいいと思います。

先生     そうですね。余地が少ないのが気になりますが、検討してみます。

先生    『工事保険』は建物の火災保険と対人対物の傷害保険が入ります。総合請負ではないので、10exさんも現場に自由に入れますが、工事現場の保険にはお入りになっていないので・・ご留意ください。いずれにしろ、規模と期間に比例した金額となります。

『雑費』は、細かい金額のもの、急いで買わないといけないものなどの費用です。事務所の判断を優先いただき、事後報告とします。

『廃材処理費』の廃材ですが、杉材は今回薪ストーブで燃やしていただきますね。合板とか養生の紙とか大きなサイズのもの、あと梱包のダンボールとかビニールなどを一括処理する費用が主です。モクセン板などは工場カットで、あまり端材も出ませんがガラ材として処理費用がかかります。各工事の廃材はその業者の持ち帰り処理です。

『通信』は、今は携帯代です。工事期間34ヶ月くらいの1台分ですが、割安なPHSを使用します。

『交通費』は芦屋→現場の往復の実費ですから、1ヶ月20日として60往復くらいですが、今回近距離でいい金額ですね。

『シロアリ』というのは防蟻材の費用ですが、効果期間が終わればまた考えなきゃいけないんです。赤身の杉材自体が防いでくれるので、現在はご要望なければ防蟻対策として費用は見ていません。

『養生』とはブルーシートや床養生紙、テープなど、床や材を保護するものです。使いまわしのものもあります。

『地盤調査』も仮設工事に入れています。日のまわりのご都合もありますから、その期間が明けたら敷地に入ろうかと。着工ではありませんから近隣挨拶は要らないのが普通ですが、2時間ぐらい多少音がします。

(注文書見てもらい)今回もまだ工事費入金がない段階ですので、先行して注文書だしますので、ご確認の印なりメールなりお願いします。注文者は10exさま事務所と連名です。業者からすると連名だと安心ですから。着工後もこの体制で進めます。

ご主人  わかりました。


つづく